読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

zakki_diaryのブログ

日々の記録。

何者

※ネタバレ注意

 

朝井リョウさんの「何者」という小説を読み終えた。

読んでる途中気持ち悪くなったが、何とか読み終えた。

読み終えて、この本を読むことができて良かったと感じた。

世の中には、ここまで人の本性を探り出せる性格の悪い人がいるのかと思うと恐ろしい。

これは、人を不快にさせる才能がある。

人に依っては読んだら発狂するレベルじゃないか?

匿名でブログやったり、ツイッターしてる人間だから、尚更思うところがあった。

「おまえも匿名で観察者気取って、現実で関わっている奴らを蔑んでいるんだろ」と、言われているような気がした。

でも俺は自己評価が低いから、そんな考えには至らないんだよね。

こんな自分に関わってくれる人は本当に良い人だと俺は思うし大切だ。

確かに日常がつまらないと思うことはあるし、自分に余裕がない時は匿名で思うことを書いてしまうことはある。

でもこんなこと言わないだけで、誰でも抱えているものじゃないかなと思うから、知り合いがどこかで俺を愚痴っていても別に驚かない。

それを否定できるほど、自分は出来た人間じゃないって知ってるから。

「私、あんたはもうひとつのアカウントにロックかけたりツイートを消去したりなんかしないってわかってたよ」

俺は、消せなかった。

「だってあんた、自分のツイート大好きだもんね。自分の観察と分析はサイコーに鋭いって思ってるもんね。どうせ、たまに読み返したりしてるんでしょ?あんたにとってあのアカウントはあったかいふとんみたいなもんなんだよ。精神安定剤、手放せるわけないもんね」

俺は何も言えない。

「たまーに見知らぬ人がリツイートしてくれたりお気に入りに登録してくれたりするのが気持ち良くて仕方なかったんでしょ?だからロックなんてかけない。自分の鋭い観察力を誰かに認められたくて仕方ないから」*1

この文章読んだとき、猛烈に恥ずかしかった。

俺も主人公と一緒で自分の文章が好きだ。

文章に限らず、自分の趣味も感性も、自分自身を正当化することが好きだ。十分に自覚してる。だから誰かが共感してくれたらうれしい。これは誰もが当てはまるんじゃないか?

あくまで現実で見せびらかすことができないから、ネットで発散してるだけであって。

それがネットの利点でもあるはずなのに、そこを否定しても人の勝手としか思えない。

言えない本音なんて誰もが抱えていることじゃないか?

でも、俺は自惚れた理由ではやっていない。

こんなこと考えている自分カッコイイとか、ましてやそれによって何者になった気でいるような気持ちではやっていないな。

何者かになりたいとは思うけど、こんな匿名でやってる自分が何者かになれてるなんて発想はなかった。やりたいからやってるだけで、人の趣味ぐらい勝手にさせろ。

人はそれぞれ、自分は自分って考え方はずっと変わらない。

その人にはその人の人生があるし、何を大切にしているかなんてみんな違う訳で、自分と比べる必要もない。自分が求める人生の在り方って他人にあるわけじゃないと思うから、他人との比較なんて自分にとって何にもならない。

ましてや自分の人生が優れているなんて全く思わない。あくまで自分が優れていると思うのは、自分にとって最善の選択をしたと思うだけで、他人は関係がない。

これを勘違いしてしまうと痛い人間になってしまうと思う。

だから、一個人の主観をさも一般論のように語るのは好きじゃない。

ブログやってる理由は、忘れないためって理由もあるし、自己顕示欲も多少あるし、色々理由がある。どれか一つだけが目的でやっているわけじゃない。

 

主人公はこんなにもプライドが高くなければ、上手くいったんだろうなと思う。

冷静に観察できるって事は、他人だけでなく自分自身もそういう目で見ることができたはずなのに。

読み返すと、この主人公は自分に突っ込まれるのを異常に嫌ってた節があった。

設定上就職浪人になっているけれど、なんでこんな性格の奴が一年目で失敗した後、自分自身のことを鑑みなかったのか。

なんで他人ばかり気にして、自分を見つめ直さなかったんだろう。そこが不思議だ。

サワ先輩にような人がいながら、ここまで自分に対して抜けているのはもったいない気がした。まあ物語上仕方ないのかもしれないが。

この物語のどの人の気持ちも分かってしまって辛かった。

俺はこの登場人物みたいに、リア充な大学生じゃないし、もっと退屈な学生生活だけど、これまで生活してきて少なからず思ったことのある気持ちが多かった。

多分、俺が大学一年生の頃、人と距離置いてしまったのはそういう自分を見透かされたくなかったからじゃないかと思った。

自分には何もないことを悟って、明らかに普通に過ごしている大学生になれないと感じて、他人に迷惑がかかる気がして自分を見つめ直さないといけない気がしてならなかった。

そりゃあ一時期主人公みたいに自惚れたこともあった。だけど、そんなことには意味がないといずれ気付いた。

この本を読み終わると言いたいことがたくさん出てくるし、辛いし、恥ずかしくなってくる。

正直もっといいたいことがあった気がするが、うまくまとまらないのでここまでにする。

 この本はもっと早く出会うべきだったと思うし、今読むことができて本当に良かった。

この小説を読めたのは、映画化のおかげだ。

映画観に行ったとき、上映前に流れた予告を観て興味を抱いたのがきっかけだから。

なので映画もぜひ見ようと思う。 


『何者』予告編

*1:何者/朝井リョウp305